人間関係に疲れた人へ|「感謝しているのに満たされない」本当の理由と無意識の思い込み
人間関係に疲れた人へ|「感謝しているのに満たされない」本当の理由と無意識の思い込み
「感謝しているつもりなんです。でも、どうして私ばかり我慢しなきゃいけないんでしょうね」
これまでたくさんの方のお話を伺ってきましたが、こんな言葉を耳にすることがあります。
仕事も頑張っているし、周囲への気遣いも忘れていない。
人に何かをしてもらえば、きちんとお礼を伝える。嫌なことがあっても、できるだけ前向きに受け止めようとしている。
それなのに、一人になった途端、いろいろな思いが浮かんでくるんですね。
「あの人がもう少し理解してくれたら」
「こんな環境じゃなければ、もっと楽しく過ごせるのに」
「私はこんなに頑張っているのに、どうして報われないんだろう」
そんなことを考えている自分が嫌になって、今度は自分を責めてしまう。
実は、人間関係で疲れてしまう方のお話を丁寧に聞いていくと、ある共通点が見えてくることがあります。
それは、自分が幸せかどうかを決める基準が、いつの間にか相手の言動や周囲の環境に移ってしまっていることです。
今日は、心理学や脳科学の視点も交えながら、この心の仕組みについてお話ししたいと思います。
1. 感謝しているはずなのに、どうして苦しいの?
「感謝することが大切」
「人のせいにしてはいけない」
「前向きに考えましょう」
どれも、間違った言葉ではありません。
私も感謝する気持ちは大切だと思っています。
ただ、長年セッションをしてきて感じるのは、感謝しようと頑張ることで、かえって自分の気持ちがわからなくなっている方がいるということです。
例えば、職場で何度も理不尽な要求を受けているとします。
周囲には「いつも助けていただいて感謝しています」と伝えている。
でも、心の中では納得できていないんですね。
「どうして私ばかり?」
「誰も私の大変さをわかってくれない」
そんな思いを抱えたまま、笑顔で仕事を続けている。
そして、そんな自分に気づくと「もっと感謝しなきゃ」と考える。
これでは、疲れてしまいますよね。
感謝していることと、不満があることは矛盾しません。
ありがたいと思う気持ちもある。でも、嫌なものは嫌。
両方あっていいんです。
ところが、頑張り屋さんほど、どちらか一方にしようとします。
「感謝しているなら、不満を持ってはいけない」
そんなふうに考えて、本当の気持ちを奥へ押し込めてしまう。
私は、ここに人間関係の苦しさを長引かせる一つの理由があると感じています。
2. 人間関係で疲れる人が、無意識に考えていること
人間関係の悩みを伺っていると、こんな話が出てくることがあります。
相手が不機嫌だと、自分が何か悪いことをしたのではないかと気になる。
頼まれたことを断ると、申し訳ない気持ちになる。
期待に応えられなかった日は、自分の価値まで下がったように感じる。
どれも、特別なことではありません。
むしろ、周囲に気を配り、責任を持って生きてきた方によく見られる反応です。
ただ、もう少し丁寧に見ていくと、そこに別の思いが隠れていることがあります。
「期待に応えなければ、認めてもらえない」
「役に立たなければ、必要とされない」
「相手を怒らせたら、私の居場所がなくなる」
こうした思い込みは、普段はなかなか意識に上がってきません。
だから本人は、ただ相手を大切にしているつもりなんです。
例えば、誰かに親切にするとき。
「この人を助けたいから、そうする」
という気持ちもあれば、
「助けなかったら嫌われるかもしれない」
という気持ちもあります。
外から見れば、どちらも同じ親切です。
でも、自分の心にかかる負担は違いますよね。
私は、この「何をしているか」よりも「なぜそれをしているのか」が、とても大切だと考えています。
3. なぜ、同じような人間関係の悩みを繰り返すのか
「転職しても、また同じような上司に悩まされるんです」
「相手は違うのに、いつも私が我慢する関係になるんです」
こうしたご相談もあります。
もちろん、実際に相手や職場環境に問題がある場合もあります。
ただ、何度も似たような苦しさを感じるときは、自分の受け止め方にも目を向けてみる価値があります。
私たちの脳は、過去の経験を参考にしながら、目の前の出来事を解釈しています。
心理学では、こうした考え方の枠組みを「スキーマ」と呼びます。
例えば、子どもの頃から周囲の期待に応えることで褒められてきた人がいたとします。
その経験を通じて、「期待に応えることが、自分の価値につながる」という考え方を身につけることがあります。
すると、大人になってからも、誰かの期待に応えられない場面で、必要以上に不安を感じてしまう。
相手が少し不機嫌なだけで、
「私が何か間違えたのかもしれない」
と思ってしまうこともあります。
でも、相手が不機嫌な理由は、本当のところわかりません。
単に疲れているのかもしれないし、別のことで悩んでいるのかもしれない。
それなのに、自分に原因があるように感じてしまうんですね。
ここで覚えておいてほしいのは、自分がそう感じたことと、それが事実であることは違うということです。
この違いに気づくだけでも、人との関わり方を見直すきっかけになります。
4. 「あの人のせいで幸せになれない」と思ってしまうとき
ここからは、少し耳の痛い話かもしれません。
「あの上司が変わってくれたら、もっと楽しく働けるのに」
「夫が理解してくれたら、こんなにイライラしないのに」
「周りが認めてくれたら、もっと自信を持てるのに」
こう思うことはありませんか?
私は、誰かのせいにしたくなる気持ちが悪いとは思いません。
理不尽なことをされたら腹も立ちますし、傷つくことだってあります。
相手に問題があるなら、それをきちんと問題として扱うことも必要です。
ただ、一つ気になることがあります。
それは、「相手が変わってくれたら」という思いが、自分が幸せになるための条件になっていないか、ということです。
相手が謝ってくれたら、安心できる。
認めてくれたら、自信が持てる。
優しくしてくれたら、幸せになれる。
こう考えている間は、自分の心の状態が相手の行動に左右されやすくなります。
でも、相手がいつ、どんなふうに変わるかは、自分では決められません。
そう考えると、ずいぶん不自由ですよね。
ここで必要なのは、無理に相手を許すことではありません。
「相手がどうするか」と「私はどうしたいか」を分けて考えることなんです。
相手が変わらなくても、自分にできる選択はないだろうか。
その視点を持てるようになると、少しずつ違う景色が見えてきます。
5. 頑張り屋さんほど、自分で選んでいるつもりになっている
40代、50代になり、仕事でも家庭でも多くの責任を担ってきた女性は、周囲の期待に応えることが本当に上手です。
頼まれたら、何とかする。
困っている人がいたら、放っておけない。
自分が頑張れば丸く収まるなら、多少無理をしてでも頑張る。
その力があったからこそ、今まで成果を出してこられたのでしょう。
でも、あるとき、ふと疑問が湧いてくることがあります。
「私、何のためにこんなに頑張っているんだろう」
「欲しかったものは手に入ったはずなのに、どうして満たされないんだろう」
ここで初めて、自分が何を望んでいたのかを考える方もいます。
もしかすると、今まで頑張ってきた理由の一部は、
「期待を裏切りたくない」
「役に立たない人だと思われたくない」
「認めてもらえなくなるのが怖い」
という気持ちだったのかもしれません。
もちろん、頑張ってきたことが無駄だったわけではありません。
その努力によって得られたものも、たくさんあるはずです。
ただ、成果を出せることと、自分が本当に望んでいることを理解していることは、別なんですね。
仕事では優秀なのに、自分のことになると何がしたいのかわからない。
そんな方に出会うたびに、私は自己理解の大切さを感じます。
6. 「人を幸せにすることが使命」だと思っていた女性の話
以前、人を幸せにすることをとても大切にしている女性がいらっしゃいました。
ボランティア活動にも熱心で、その取り組みが評価され、表彰を受けたこともある方です。
ご本人も「人を幸せにすることが私の使命なんです」と話されていました。
素晴らしい活動をされていることは間違いありません。
ただ、セッションでその思いを丁寧に見ていくと、少し違う気持ちが出てきたんです。
それは、
「独りぼっちになるのが嫌」
という思いでした。
人を助けたいという気持ちが嘘だったわけではありません。
でも、その奥には、人の役に立ち続けていないと、自分の居場所がなくなるような不安もあったんですね。
こうしたことは、本人にもなかなかわかりません。
なぜなら、ずっと「人を幸せにしたい」という気持ちで行動してきたからです。
でも、自分の中にある別の気持ちに気づくと、考えることが変わってきます。
「もっと人の役に立つには、どうすればいいだろう」
だけではなく、
「私は、人の役に立っていないときも、自分を大切にできているだろうか」
という問いが生まれるんです。
私は、こうした自分でも気づいていなかった思いを言葉にしていくことを、「無意識の言語化®」と呼んでいます。
何をしているかだけでなく、なぜそれをしているのか。
そこが見えてくると、今まで当たり前だと思っていた生き方にも、別の選択肢があることに気づけるんですね。
※個人が特定されないよう、事例の一部を調整しています。
7. 人に振り回されないために、今日からできること
では、どうすれば人間関係に振り回されず、自分らしく過ごせるのでしょうか。
難しいことを始める必要はありません。
まずは、いつもの考え方を少し変えてみることです。
「誰のせい?」より「私は何が嫌だった?」と考えてみる
例えば、上司に厳しいことを言われたとき。
「あの人のせいで嫌な気分になった」
そう思うこともありますよね。
そこで、もう少しだけ自分に聞いてみてください。
「私は、何がそんなに嫌だったんだろう?」
「本当は、どうしてほしかったんだろう?」
すると、怒りの奥にあった気持ちが見えてくることがあります。
「努力を認めてほしかった」
「対等に話を聞いてほしかった」
「一方的に決められるのが嫌だった」
自分が何を大切にしていたのかわかると、その後の対応も考えやすくなります。
事実と、自分の解釈を分けてみる
友人にメッセージを送ったのに、なかなか返信が来ない。
そんなとき、
「嫌われたのかな」
「私のことなんて、どうでもいいのかな」
と思ってしまうことがあります。
でも、事実は「まだ返信が来ていない」ということだけです。
嫌われたかどうかは、まだわかりません。
自分が何を想像しているのかに気づくと、必要以上に不安を大きくせずに済むことがあります。
「私はどうしたい?」を先に聞いてみる
人間関係で疲れている方ほど、
「相手はどう思うだろう?」
を先に考えています。
だから、ほんの少しだけ順番を変えてみてほしいんです。
「私はどうしたい?」
「私は何を大切にしたい?」
「そのために、今できることは何だろう?」
自分の希望を理解してから、相手との関係を考える。
相手を無視するのではありません。
自分の気持ちも、相手の気持ちと同じように大切にするということです。
8. 人間関係と無意識について、よくいただく質問
Q. 人のせいにしてしまう私は、精神的に未熟なのでしょうか?
そんなふうに決めつける必要はありません。
相手に原因があることもありますし、理不尽なことをされたら腹が立つのは自然です。
大切なのは、何が起きたのかを整理して、自分が責任を持つ部分と、そうではない部分を分けることです。
Q. 感謝しているのに人間関係が苦しいのは、おかしいですか?
おかしくありません。
感謝していても、不満を感じることはあります。
相手にありがたいと思う部分があっても、我慢し続けなければならないわけではありません。
まずは、自分が何に負担を感じているのかを理解してみてください。
Q. 無意識の思い込みは変えられるのでしょうか?
長い間身につけてきた考え方や行動のパターンも、気づきと新しい経験を重ねることで変化する可能性があります。
ただ、気づいた瞬間にすべてが変わるわけではありません。
自分の反応を理解し、今までとは違う選択を少しずつ重ねていくことが大切です。
Q. 自分軸を持つと、わがままになりませんか?
自分軸を持つことは、相手の気持ちを無視することではありません。
自分の希望も相手の希望も大切にしながら、どう関わるかを自分で選ぶことです。
今まで相手を優先してきた方ほど、最初は自分の気持ちを大切にすることに戸惑うかもしれません。
でも、自分を大切にすることと、相手を大切にすることは、両立できるんです。
9. 誰かが変わるのを待たなくても、幸せは選べる
「私は大丈夫です」
「感謝しています」
そう言いながら、心の中では傷ついている。
もし、そんな自分に気づいたら、無理に前向きになろうとしなくていいと思います。
「本当は嫌だった」
「本当は悲しかった」
「本当は、もっと大切にしてほしかった」
まずは、そんな気持ちがあったことを認めてあげてください。
自分の本音を理解することは、誰かを責めることではありません。
そして、人のせいにしないということは、何もかも自分の責任にすることでもありません。
相手の問題は相手の問題。
自分の人生は、自分の人生です。
この二つを分けて考えられるようになると、今までとは違う選択が見えてきます。
誰かに認めてもらってから幸せになるのではなく、自分が望む幸せを、自分で選んでいく。
今まで十分頑張ってきたのですから、これからは自分のためにも、その力を使ってみませんか。
成功することも、幸せになることも、どちらかを諦める必要はありません。
成功も幸せも、自分で選べる人生。
私は、そんな人生を歩む方が増えてほしいと思っています。
頑張ってきたのに、どこか満たされないあなたへ
仕事でも家庭でも、ずっと頑張ってきた。
周囲から見れば恵まれているし、成果も出している。
それなのに、なぜか心が満たされない。
人間関係では気を遣い、期待に応えているうちに、自分が本当はどうしたいのかわからなくなってしまった。
MIRAICCHI(未来一致)は、そんな方が自分の本音を理解し、望む未来を自分で選んでいくためのプログラムです。
脳科学・心理学の知見を取り入れた「無意識の言語化®」を通じて、これまで気づかなかった思考や感情のパターンを、一緒に整理していきます。
誰かに認められるために、頑張り続けなくてもいい。
自分が本当に望んでいることを理解し、そこから人生を選び直していく。
「私の人生、これで良かった」
そう思える毎日を、これからつくっていきませんか。
執筆:田中よしこ
株式会社コレット代表取締役/客員教授
脳科学・心理学を軸とした「無意識の言語化®」によるコーチングを提供。セッション歴14年、累計8,000件以上。著書4冊。
田中よしこ
株式会社コレット代表/マインドトレーナー
情報経営イノベーション大学 客員教授
「無意識の言語化®」を用いたセッションを提供。セッション歴14年、累計8,000件以上。著書4冊。
